ふるさと納税の成長と岡崎市の課題 通信#14

岡崎市が現地決済型のふるさと納税「ふるさと応援納税®︎」をはじめました。これは、お店やホテルなど、じかにその場でふるさと納税をおこなうことができるサービスです。ここから、ひろく加盟店を募集していくこともあわせて発表しました。

今回はこのような取り組みをする背景について考えようとしています。

ご存知の方も多いとは思いますが、総務省によると「ふるさと納税」とは、選んだ自治体に寄付をおこなう場合、寄付額のうち二千円を超える部分について、一定の上限はあるものの、所得税と住民税から原則として全額が控除(こうじょ)される制度です。この制度は二〇〇八年五月からはじまりました

いろいろと経緯はありますが、ここまで普及したのには二つのポイントがあります。ひとつは、ワンストップ特例制度の導入です。二〇一五年にこの制度が導入されるまで、寄付金の控除を受けるには確定申告(かくていしんこく)が必要でした。これは慣れない方にとりハードルが高く、利用しにくいものでした。しかし導入後は手続きが簡素化され、利用者が増えました。

もうひとつは、返礼品です。制度の開始当初は、返礼品をおくる自治体は一部にとどまっていました。しかし、返礼品合戦が加熱すると、総務省は二〇一九年に返礼の割合を三割以下にするよう定めました。それでも、ふるさと納税「市場」の人気は衰えることなくいまにいたっています。

これらの効果により、二〇二三年度には受け入れ額が約一兆一千百七十五億円となりました。はじめて一兆円を超えることになったわけです。ちなみに、二年連続で受入額が日本一となった宮城県都城市のHPをみると、ECサイトよろしく。美味しそうな国産牛赤身切り落としや、お酒が並んでいます。

このような流れのなかで、岡崎市はふるさと納税市場において「負け組」になっています。

どういうことでしょうか。

数字ばかりで申し訳ありませんが、岡崎市における二〇二三年度の寄付金の受け入れ額は約二億八千万円でした。それにたいし、寄付金による控除額、つまり外に出ていくお金は約十四億三千万円となりました。差し引き、約十一億五千万円が流出しています。くわえて直近三年間の累計では約三十億円にものぼります。これは財政を圧迫する要因となっています。

さて、ここで難しいのは、ではどうするのか、です。国の制度であるかぎり、出を減らす、または入りを増やす、このふたつの道しかありません。出を減らすのは、みなさんに現状を理解してもらい、差し控えてもらうことです。とはいえ、これは個人の戦略としてはどう考えても不合理です。おなじ税金を払うなら返礼品を受け取るほうがはるかに合理的です。それで、おいしいお肉を食べる。これは人情です。

となると、入りを増やす道でがんばるしかありません。岡崎市のHPをみると、それなりに魅力的な返礼品がリストアップをされています。ビーズクション、豆乳、八丁味噌、などなど、千件以上もの品物があります。今後もこのリストを増やし、あたる「商品」を探すことが重要な戦略です。もうひとつは、間口をひろげることです。冒頭のサービスは、そのための施策に位置付けることができます。

昨年、ふるさと納税のポータルサイトにアマゾンが参入しました。今後もこの市場が拡大することが予想されています。そのなかで、わたしとしては、街を歩き、すこしでもこの市場に参入する事業者さんを増やすことに努めていきたいと考えています。

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