エビデンスベースによる合意形成の必要性

会派の代表質問にたちました。それぞれの会派の代表が市政にたいして質問する場所です。いろいろな意見があるなかで、どのように市政を運営していくのか。その方向性について質問をしました。

どういうことでしょうか。

地域にあった政治をして、住民の声を生かすのが「地方公共団体」です。地方公共団体には、「都道府県」と「市町村」があります。「都道府県」は、広い地域をまとめています。「市町村」は、住民のくらしに近いところで活動しています。このような地方公共団体がおこなう政治を「地方自治」と呼びます。

「地方自治」は、住民が自分たちの地域について考え、話し合って決めることです。でも、最近は話し合いで決めることがむずかしくなってきました。なぜなら、各自が自分の考えを大事にするようになったからです。いろいろな意見が増えました。「多様性がある社会」ともいわれています。

昔は、みんなの声を聞いて、多くの人が納得できるように決めていました。でも今は、意見をまとめても、後から反対されることが増えています。おおくのひとが賛成したと思っていたことが、選挙で反対されることがあります。また、全体では賛成でも、一部の人は反対していることもあります。

別にこれは抽象的なことではありません。例えば、町内会の意見が、住民全員の意見とは限らないはずです。また、PTAや子ども会に入る人が少なくなり、うまくまとまらないことも増えました。

社会の変化により、合意をしてものごとをすすめることが難しくなったわけです。

もうひとつ、時代の変化もあります。むかしは、多くの人が同じような体験をしていました。だから、自分の経験をもとにして、みんなで話し合うことができました。これを少しこなれた言いかたにすると、「エピソードベース」でも合意形成ができたといえます。「紅白歌合戦」をみんなが見て、みんなでその話をすることができたものです。

でも今は、ユーチューブやティックトックなど、みんなが同じ体験をしているとは限らなくなりました。そうなると、みんなで話し合うときに、共通の話題が見つけにくくなっています。このように、合意することの難しさは、社会と時代の変化にあります。

では、どうればいいのでしょうか。

これからも、自分の体験をもとに話すことは大切です。でも、それだけでは足りません。

数字や事実にも目を向けて、それをもとに話し合うことも大事になってきます。これを「エビデンスベース」といいます。意味は、「数字や事実をもとにして考える」ということです。自分の体験も大切にしながら、数字や事実も使って、みんなが納得できる話し合いをすることが、これからは必要ではないでしょうか。

地方自治の世界では、これをEBPMとよんでいます。おなじく数字やデータを使って、効果があるかどうかをしっかり確かめながら決めるやり方です。そうすることで、みんなが安心でき、行政の仕事に信頼も生まれます。これからの、地方自治の合意形成においてこれが大事になると思います。

岡崎市においては議論をはじめたところです。人材、組織、予算、まだまだ課題はあります。ただ、このように質問をすることで、実現にむけ第一歩を踏み出すきっかけを作ったと自負しています。

みんなで話して、みんなで決める。この理想を手放すことなく、現実的にすすめる方法の一端にエビデンスベースがあるのではないでしょうか。

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