マンホールの下にひろがる物語

先日、大阪でおこなわれた下水道展にいってきました。
ざっと会場をながめると業界のトレンドがわかります。こんかいは、水道改修における手法のDX化や下水道の民営化の手法である「ウォータPPP」がその流れであったと思います。そのなかで興味深かったのは下水道処理のさいに排出される汚泥を限りなく少なくする薬品の発表でした。

環境問題のたかまりを受け、汚泥の再利用が進む方向性かと思っていましたが、そもそもそれを排出させない方向があるとは思いつきもしませんでした。こういった展示会は、全体的な業界のトレンドを掴むことができること、そして思いもよらない出会いがあることがいいところです。

とはいえ、下水道事業は地味なものです。我々の生活を支える重要なインフラにもかかわらずです。日常においてその存在を意識することはあまりないのではないでしょうか。あって当たり前。そういう存在です。

そうであるからこそなのか、本当に見えないところで老朽化が進んでいます。岡崎市の下水道管路の総延長は1806kmです。そのうち50年を過ぎた管路は約90kmあります。2030年には共用開始後50年を越すであろう管路は約280kmに達し、総延長比で14%を超えるとされています。将来にわたりその増加ペースがもっと進むことは目に見えています。

展示会で多数のメーカーが発表していた修繕におけるDX化の技術は、この傾向に対し、いかに安く、効率的に維持管理をするかに対応するための技術革新であるといえます。

とはいえ、一にも二にも、これらの改修にはお金が必要です。残念ながら、下水道の収入は利用者からの使用料で賄われている限り、劇的な収入の上昇を見込むことはできません。今後の人口減少社会においては、むしろ減収していくことになるはずです。

このような環境下において、どうしていくべきでしょうか。ひとつは、みなさんに下水道の重要性について目を向けてもらうことがあります。とはいえ、なかなか興味を持てるものではありません。あって当たり前なのですから。そこで、間口を広げるために実施されているのがPR活動です。

その象徴としてデザインマンホール蓋があります。1987年には市政70周年の記念事業として「岡崎城と桜と花火」などのマンホール蓋の導入。それに続き内藤ルネ氏のイラストを活用したものや、人気YouTuberの「東海オンエア」をモチーフにした蓋など、見て楽しい蓋がいろいろあります。ぜひ、道を歩いている際にマンホールを眺めてみてください。そして、できれば、その蓋の下に続く、長い長い管路を思い、下水道に想いを馳せていただければと思います。

ある方が「根源的な物語」として、日常に必要なことをこう書き記していました。

「誰かがやらないと、あとで誰かが困るようなことは、特別な対価や賞賛を期待せず、ひとりで黙ってやっておくこと。そういうささやかな仕事を黙々と積み重ねることでしか『邪悪なもの』の浸潤は食い止めることができない。」

下水道の仕事とはそのようなものの気がしてなりません。

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