岡崎市では、市民の暮らしやすさや、市の取り組みに対する満足度を知るために、3年ごとに「市民意識調査」を行っています。
令和6年(2024年)は、18歳以上の市民5,000人にアンケートを送りました。そのうち2,752人が回答し、回収率は55.0%でした。郵送で1,671人、WEBで1,081人が答えました。
今回の調査では、「住みよい」と感じている人は22.8%でした。前回の令和3年は33.6%だったので、10.8ポイント減っています。
なぜ減っているのでしょうか。
このアンケートでは項目ごとに重要度と満足度を調査としてまとめています。重要度とはみなさんが重要だと思っている政策。それに対し、満足度とはそれが満たしているかを聞いたものです。
具体的に、なぜ「住みよい」と答えた方が減ったかについては記述はありません。とはいえ、推察はできます。重要度と満足度に乖離がある項目が、住みにくさを招いているはずです。
では、それがなにか。
最も乖離がある3つの項目を列挙してみます。
「子育て・男女共同参画」は、重要度が71.8点と高い一方で、満足度は54.0点にとどまっています。
その背景には、共働き世帯の増加があります。しかし、保育園や学童保育の定員が不足し、希望する施設に入れないケースも少なくありません。また、急な病気のときに子どもを預けられる病児保育の施設も限られています。このため、仕事を休まざるを得ず、職場に迷惑をかけてしまうと感じる親も多いはずです。
さらに、男性の育児参加が進まないことや、企業側の理解不足も問題となっています。例えば、育児休暇を取りたくても取りづらい雰囲気があるという声もあります。こうした状況が、子育て世代にとって大きな負担となり、満足度が伸び悩んでいる理由と考えられます。
つぎに、「都市インフラ」は重要度69.9点に対し、満足度は50.2点と低くなっています。具体的には、道路の渋滞が解消されていないことや、歩道が狭く安全に歩けない場所が多いことが挙げられています。
公共交通も不便で、バスの本数が少なく、駅までのアクセスが悪い地域もあります。さらに、駅周辺や公共施設の駐車場不足、老朽化した施設への不満の声も多く聞かれます。このように、移動や施設利用のしづらさが、都市インフラに対する満足度を低くしていると考えられます。
さいごに、「行政・パートナーシップ」も、重要度63.7点に対して、満足度は49.4点と開きがあります。市民からは「行政からの情報が十分に伝わってこない」「問い合わせても対応が遅い」「窓口での手続きが煩雑で時間がかかる」といった声が多く聞かれます。
また、自治会や地域活動への参加率が低下しており、市民と行政が協力して地域づくりを進める意識が薄れていることも一因にあげられています。行政と市民がうまく連携し、課題を解決していくための仕組みがまだ十分ではないと感じている人が多いのかもしれません。
これらの項目は、市民の関心が高いにもかかわらず、現状の取り組みに不満を感じている人が多いことを表しています。
そして、これらのことが「住みよい」と感じている人が減った一因であると考えられます。
さて、こうした市民の声を受けて、岡崎市には次のような対策が求められます。
交通については、バス路線を増やすことや、予約制の乗合タクシーなど新しい移動手段を取り入れることが必要です。渋滞を減らすために、道路整備や信号の調整も重要です。
子育て支援では、保育園や学童保育の定員を増やすこと、病児保育や一時預かりの場所を増やすことが求められます。父親の育児参加を応援する企業支援や、テレワークや短時間勤務など働き方の工夫も必要です。また、親同士が集まれる子育てサロンを増やすことで、孤独感を減らせます。
ともあれ、2期以上にわたり市政に関わらせていただいた身としては、今回の結果には責任を感じています。
3年後にこの数字があがるよう、しっかりと精進をしていきたいと思います。
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