1 障がい福祉サービス等事業者について
(1)経緯
1、障がい福祉サービス等事業者について。
令和6年6月26日付で、障がい福祉サービス事業者の指定の一部効力を停止しますという文書が出されました。停止理由として、障がい者の方が共同で暮らすグループホームを営む事業者が二つの違反をしたというものです。
一つは、利用者に対し食材料費を過大に徴収したとして、人格尊重義務違反。そして、もう一つが、サービスの提供がないのに請求をした、従業員の適切な配置がないにもかかわらず夜勤職員加配加算をしたとして、いわゆる不正請求が行われたというものです。
これにより、本市は事業者に対し4,700万円弱の返還を求める処分が、こちらの内容でございました。この件については、国、県も対応を迫られる事態となっております。
そこで、改めて今回の経緯についてお伺いいたします。
◎福祉部長(阿部田洋) 障がい者グループホーム等を運営する株式会社恵の案件でございますが、関係者からの情報提供を受け、令和4年4月と8月に市内で運営する2か所の事業所に行政指導である実地指導を行いました。
その際に、食材料費の過大徴収や基準に適していない運営を確認し、改善を指示しております。また、実地指導後には、県をはじめとする指導の権限を有する県内自治体に情報共有しています。
なお、これらの改善指示事項については、令和5年4月に改善した旨の回答を受け付けております。
一方、令和5年6月には、国から食材料費の取扱いについて監査等により事実確認を求める事務連絡が発出され、7月には、愛知県から食材料費の確認方法等について共有されました。
このような流れの中、本市も10月から監査を実施し、株式会社恵が市内で運営する共同生活援助と短期入所の事業所について、県内の関係自治体と足並みをそろえ、書類等の検査を始めました。食材料費につきましても、県から共有された方法により、改めて確認しています。
令和6年4月には監査を終え、確認した事実等を踏まえ、6月に行政処分を行いました。
以上でございます。
(2)利用者への対応
今回の対応は利用者さんにとっては急なものであったというふうに思っておりますが、利用者さんやその家族に対してどのような対応をされたのか、お伺いをいたします。
◎福祉部長(阿部田洋) 市としては、随時、利用者やその家族等からの相談を受けており、丁寧な対応に心がけてまいりました。
受けた相談の内容としては、厚生労働省が適用した連座制による影響でグループホームを退所しないといけないのか、また、株式会社恵の側から説明がないことからくる不安の声などを聞いております。
対応としては、転居の意向があれば、担当の相談員へ受入れ可能なグループホームの情報提供をするとともに、受入れ先の調整を依頼するなどを行ってまいりました。また、相談支援専門員からも不安の声が届いており、基幹相談支援センターと連携を図りながら対応しております。
以上でございます。
(3)経年推移
こういった問題が起きてしまった一端として、この間、やはりこういった事業者の受皿を広げていくために政策が推進されてきたというふうに認識をしております。大きく拡大してきたところとして、それが分かる数字として、障がい福祉サービス費等支給業務、そして障がい児通所給付費等支給業務、この二つがあるというふうに思っております。
そこでお伺いいたします。この二つの業務の過去5年間の伸び率について、また増加の多い主な給付業務についてお尋ねをいたします。
◎福祉部長(阿部田洋) 事務費等を含む障がい福祉サービス費等支給業務は、平成30年度の決算額が41億4,706万2,992円、令和4年度が56億4,783万3,270円となっており、伸び率は約36%です。給付費が増加している主なサービスは、共同生活援助、いわゆるグループホームが約3.1倍で約4億6,000万円の増、居宅介護が約1.7倍で約2億2,000万円の増となっております。
障がい児通所給付費等支給業務は、平成30年度の決算額が12億5,474万5,989円、令和4年度が23億5,930万5,432円となっており、伸び率は約88%です。給付費が増加している主なサービスは、放課後等デイサービスが約1.8倍で約7億3,000万円の増、児童発達支援が約2.1倍で約3億4,000万円の増となっております。
以上でございます。
(4)本市が持つ権限
この5年間でグループホームが3.1倍、居宅介護が1.7倍、そのほか放課後等デイサービスが1.8倍という形で、5年の間にかなり急拡大をしてきたという状況を確認させていただきました。
それでは、本市がこのような事業者に対しどのような権限を持ち、参入や運営に対し関与しているのか、お伺いをいたします。
◎福祉部長(阿部田洋) 障がい福祉サービス等事業所の参入、運営において、本市が持つ権限としては、まずは事業所の指定、加算、変更、廃止等に関する事務があります。新規での事業所指定の申請時に、事業所が障害者総合支援法または児童福祉法など関係法令に規定されている人員配置等の基準を満たしているかどうかなどを確認し、問題がなければ指定を行い、その後は、事業所から相談があれば随時応じるとともに、加算の見直しや体制等に関する変更、廃止等の届出があれば、適宜事務処理を行います。
また、運営指導や集団指導といった行政指導と監査があります。
運営指導とは、全ての事業者に対しおおむね3年に一度実施する指導です。事前に連絡した上で事業所に立ち入り、書類や人の配置等が基準に照らして適切に守られているかを確認することが目的であり、不十分な点があれば改善を指示します。
集団指導とは、年に一度、事業者を一定の場所に集めて、講習等の方法により、サービス等の取扱いや費用の請求の内容など、市が必要と選定した内容を指導するものでございます。
他方で、監査は、複数の情報から、虐待や不正請求など基準違反等の確認が必要と判断した場合に行う強制力を伴う検査でございます。事前の連絡なしに実施することができ、検査の範囲も制限はありません。結果として明らかになった基準違反の程度によっては、行政処分することもございます。
以上でございます。
(5)量と質のバランス
こうやって数が増えてきたということは、需要があるからこそ増えてきたというふうに判断はしているところでございます。
他方で、今後のことを考えますと、質をどういうふうに担保していくのかということも、これから重要になってくると思っています。多くの事業者は懸命に取り組んでいただいているというふうに考えるところではありますが、こういった例が出てくるとしたら、やはりしっかりと質の担保が必要だと思っております。
そこでお尋ねをいたします。今回、先ほど聞いた権限を利用しながら、本市としてどのように適正なサービスが提供される場を構築していくのか、そのお考えについてお伺いいたします。
◎福祉部長(阿部田洋) 本市のいわゆる量的な面での状況を申し上げます。
令和6年4月に鹿児島市が行った障がい福祉サービス等に関する調査によりますと、令和6年4月1日現在の本市の障がい福祉サービスと障がい児通所支援の事業所の合計数は438事業所で、近隣の中核市では、豊田市が515事業所、豊橋市が473事業所ですので、比較すると少ない事業所数となっております。
障がい福祉サービス等と障がい児通所支援等の事業費の合計額は、令和4年度決算額において79億5,580万4,000円で、同じく近隣中核市と比較すると、豊田市が91億4,668万7,000円、豊橋市が97億1,454万5,000円となっており、近年の障がい福祉サービス等事業所に関する量的な増加については、本市が突出しているなど特有の状況ではなくて、他市も同様であり、国の方針に合わせた制度上の対応や利用者からのニーズの増加が反映されているものと考えられます。
実際、本市における障がい者手帳の交付者数は、過去10年で約20%増加しており、放課後等デイサービスなどは、医療機関から療育の勧めを受けた児童など障がい者手帳までは所持されていない方も障がい福祉サービスを利用されることも増えております。
近年、質的な部分を担保するための施策として、障がい福祉サービス等の事業所数やサービス量の総量規制を行っている自治体も一部はありますが、本市においては、ほとんどの種別の障がい福祉サービスが障がい福祉計画及び障がい児福祉計画で定めたサービスの見込み量を上回る水準ではないことから、利用者のニーズに対して飽和しているとまでは言い難い状況であり、推移を見守っておりますが、現時点において規制等による抑制を行うことが必要とは考えておりません。
一般的に、障がい福祉サービス等事業所については、新規申請時に基準を満たしている事業所を指定しないことはできませんが、株式会社恵の件でも問題を指摘されている日中サービス支援型共同生活援助については、市の障がい者自立支援協議会に対し、指定申請前に運営方針や活動内容を説明すること、また、指定後も年1回は実施状況を報告し評価を受けることが義務づけられておりますので、国や県の動向も見据えつつ、本市として実施方法等についてさらに研究、検討していく必要があると考えております。
運営につきましては、定期的な指導により、事業者の理解不足や認識誤りを防止することが基本と考えております。
監査は、基準違反の疑いのある範囲を全件調査をする必要があるため、多くの時間と労力を要します。一方で、従事できる職員や予算は限られており、かつ年々増加する事業所への周期的な運営指導をはじめとする通常業務の対応に追われているため、監査のような計画外の突発的な業務に対応するには限界があります。
これまで同様、監査すべき案件であるのか慎重に判断し、必要と判断した際には効率的かつ効果的なものになるよう実施することで、適切なサービスが提供されるよう取り組んでいく必要があると考えております。
以上でございます。
量に関しては抑制していく必要はないと今は考えているという御回答ではありましたが、質に関してどうしていくのかということも議論が必要な段階に入ってきているというふうに考えております。
今回の定例会の初日、市長が提案説明でこのことに触れておりました。読み上げますと、本市では、障がい者に対する虐待、差別を防ぎ人権を守りたいという岡崎市としての意思表示や、障がい福祉事業者の量的確保のみならず、質的担保を確保する市役所内の体制づくりを早急に検討していく考えですという言葉でございました。
早急な検討を私からも改めてお願いし、次の質問に移ります。
2 コンベンション施設整備事業について
(1)経緯
2、コンベンション施設整備事業についてであります。
数年前より重要な論点となってきた場所です。今回はこれまでの経緯を改めてお伺いし、現時点でどのようになっているのかを確認させていただくことを目的に、以下、質問をしてまいります。
そこでまず、太陽の城跡地について、経緯について改めてお伺いいたします。
◎総合政策部長(岡田晃典) 本事業は、平成30年3月に策定されました乙川リバーフロント地区公民連携まちづくり基本計画、いわゆるQURUWA戦略におけるプロジェクトの一つ、PPP活用拠点形成事業(太陽の城跡地)と申しますが、そこに位置づけられる事業でございまして、シティーホテル、コンベンション、リバーベースを一体的に整備するまちの拠点形成プロジェクトでございます。
まず、平成31年4月に基本コンセプトをまち・ひと・かわを結ぶ交流拠点とする整備基本計画の公表、令和元年6月には事業実施方針の公表を行っております。
同年9月には、岡崎市コンベンション施設整備事業等及びその附帯事業であるホテル等民間収益施設事業を、PFI法第7条の規定に基づく特定事業として選定するとともに、募集要項等を公表し、公募を開始いたしました。
令和2年2月には優先交渉権者を選定し、同年4月には基本協定の締結、契約締結に向けた協議を進めてまいりました。
その後、市の政策変更により、再度、多くの市民の意見を聴いた上で、事業計画の見直しを含め事業の方向性を決定するため、優先交渉権者に対して令和2年12月に事業を一時凍結することを申し入れました。
この流れを受けまして、令和3年4月から10月にかけて延べ3,000人近くの市民の皆様の意見を伺い、11月に太陽の城跡地の活用について(最終案)を作成、公表するとともに、優先交渉権者に対し新たな方向性に基づく事業実施の判断をいただくため協議再開をお願いし、市も施設規模や予算等の精査を進めることといたしましたが、令和5年2月に、優先交渉権者によって設立されましたSPC--コンベンション施設整備事業の実施を目的として設立された特別目的会社のことでございますが--及びホテル事業者から、契約に向けての協議を中止する旨の通知を受けました。
優先交渉権者との協議中止を受け、令和5年3月には次点交渉権者にこれまでの経緯を説明し、翌4月に次点交渉権者へ事業参画に係る確認文書を送付したところ、同年6月に次点交渉権者からも次点交渉権を辞退するとの通知がありました。
この辞退を受けまして、優先交渉権者及び次点交渉権者との契約を締結する見込みがなくなったため、令和元年9月に公表した募集要項に基づく公募は終了したという状況となっております。
以上でございます。
(2)執行された予算
それでは、コンベンション施設整備事業で今までどれほどの予算が執行されてきたのか、お伺いいたします。
◎総合政策部長(岡田晃典) コンベンション関連経費の決算額は、平成30年度1,024万4,000円、令和元年度は2,392万9,000円、令和2年度は1,708万1,000円、令和3年度は5,593万5,000円、令和4年度は1,727万2,000円、令和5年度は3,027万8,000円、合計は1億5,473万9,000円となります。
各年度に実施した主な内容といたしましては、平成30年度は、コンベンション施設整備事業における事業手法の検討、基本計画の作成に係る業務委託料といたしまして892万1,000円、植栽管理や光熱費で132万3,000円。
令和元年度は、コンベンション施設事業用地として借り受ける民間用地の借地料算定に係る土地鑑定の手数料で248万5,000円、コンベンション施設整備事業者募集資料の作成支援、特定事業選定に係る業務支援、事業者募集選定に係る業務支援、基本協定及び事業契約書締結支援に係る業務委託料といたしまして2,042万7,000円、植栽管理や光熱費で81万4,000円。
令和2年度は、コンベンション施設整備事業優先交渉権者との契約締結支援、新型コロナウイルス感染症への対応に関する支援など、業務委託料といたしまして526万9,000円、植栽管理、土地の賃借、修繕費、光熱費で1,181万2,000円。
令和3年度は、損害賠償金4,275万円、植栽管理、土地賃借、光熱費で1,318万5,000円。
令和4年度は、要求水準書の変更、概算整備費の算出、基本協定改定等の事業契約締結支援に係る業務委託料といたしまして368万5,000円、植栽管理、土地賃借、光熱費で1,325万7,000円。
令和5年度は、家屋調査などの委託料といたしまして313万5,000円、植栽管理、土地賃借、光熱費で1,328万1,000円、旧教育文化館の解体に伴う倉庫の賃借、手洗い場の移設で1,386万2,000円となります。
以上でございます。
(3)暫定利用
それでは、コンベンション施設整備事業用地の現在までの利用状況と今後の利用についてお尋ねいたします。
◎都市政策部長(松澤耕) 現在までの利用状況は、乙川河川緑地(殿橋下流左岸)管理運営事業により、指定管理者の事務機能や、河川の増水対応で河川区域内の設置物を撤去した際の置場をはじめ、資材の保管等、河川緑地の利便性を高めることを目的に利用しております。
あわせて、花火大会など本市の行事による利用及びキャンプやマーケットなどのかわまちづくり事業での駐車場のほか、公共工事の資材置場として利用しています。
また、豪雨時等で地元の方の車両退避所としての利用を行っています。
今後の利用については、令和6年7月29日に旧教育文化館の解体が完了し、新たに利用できる範囲が広がりましたが、太陽の城跡地の計画が具体的になるまでは、あくまでも今までと同様に暫定的な使用の許可を行ってまいります。
QURUWA地区の活動を推進する上で、事前に土地利用者の申請を受けて、地元総代、QURUWA7町・広域連合会等と周辺地域への影響を共有し協議することによって、地域から受け入れられる調和の取れた利用を実現できるように進めていく予定です。
以上でございます。
(4)今後
それでは最後に、今後、コンベンション施設整備事業をどのようにしていくのか、お伺いいたします。
◎総合政策部長(岡田晃典) 労働人口の減少ですとか不安定な世界情勢など、様々な要因によります運営費用や建設資材の高騰は、しばらく落ち着かないものと考えております。まずは、そうした状況も鑑み、暫定整備による活用を行うことで、周辺で展開されております各種施策と併せ、QURUWA戦略の一層の推進を図りたいと思っております。
今後は、令和3年11月に公表いたしました太陽の城跡地の活用について(最終案)、いわゆる市民の意見を再確認しアップグレードされた案を基に、本案を公表してからこれまでに市内で実現された内容もあるため、いま一度整理しつつ、本市における宿泊需要や、市内企業のコンベンション需要も踏まえながら、再公募の時期を見極めたいと思っております。
以上でございます。
現在までに1億6,000万円弱の予算が使われてきました。そのうち、年間1,400万円弱の管理費がこれからもかかるというふうなことだと思っております。一方で、暫定利用にとどまり、再公募の見通しも立っていません。
今後、しっかりと市場と対話をしていただきながら、再度公募が行われることを期待し、次の質問に移ります。
3 食品営業許可証の背景デザインについて
令和5年9月以降の検討状況
3、食品営業許可証についてであります。
令和5年9月定例会の一般質問で、食品営業許可証の背景を複数のデザインの中から営業者が選択できる方法を検討していくと回答がありましたが、現状についてお伺いいたします。
◎保健所長(片岡博喜) お尋ねの食品営業許可証デザイン選択の現況でございますが、保健所では、さきの議会答弁以降、背景デザインにつきまして慎重に検討を重ねた結果、本年4月から、食品営業許可証の背景デザインを、従来の岡崎城に加え、本市の岡崎城下家康公夏まつり花火大会の花火風景と、シンプルに市章のみの計3種類を用意いたしまして、営業者が自由に選択できるように選択の幅を広げたところでございます。
以上でございます。
パネルをお願いいたします。
こちらが今御紹介のありました三つで、前まではこの岡崎城のみだったと思うんですが、今は花火大会と市章、この二つが増えて選べるようになったというのが今の御答弁であったというふうに思います。
そこでお伺いいたします。このデザインがどれほど発行されているのか、また、利用者の声があればお聞かせください。
◎保健所長(片岡博喜) お尋ねの食品営業許可証デザイン選択の発行枚数等の現況でございますが、今年4月から7月末までの今年度の食品営業許可証の発行枚数は416枚でございます。その背景デザインの内訳といたしましては、花火大会が189枚、岡崎城が189枚、市章のみが38枚となっております。
その際、営業者からいただきました御意見等では、本市の花火大会の背景につきましては、大変鮮やかで岡崎らしいデザインであるといった高評価や、逆に、市章のみの背景につきましては、シンプルでよいといった御感想など、いずれもおおむね好評でございまして、営業者の皆様方の幅広いお店づくりのニーズに十分対応させていただいていると考えております。
私からは以上でございます。
終わります。ありがとうございました。
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