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【視察】会派視察のレポート2018.05.08-10

2018/05/25 00:00 議会報告

2018年5月に会派で視察をしたさい議長に提出したレポート全文です。

 行政視察報告書2018.05.8-10.pdf

平成30年度 行政視察報告書

平成30年5月24日(木)

チャレンジ岡崎・無所属の会 小田 高之

江村  力

杉山 智騎

1. 視察日程

平成30年5月8日(火)~5月10日(木)

2. 視察先及び視察内容

(1)  北海道函館市

函館市自治基本条例について

(2)  青森県青森市

青森市まちづくり基本条例について

(3)  岩手県盛岡市

もりおか復興推進しぇあハート村について

3.視察内容

■函館市自治基本条例について

 5月8日(火) 14:30~

 

ⅰ)北海道函館市

人口 26.5万人、面積 677.87k㎡

北海道の南端部に位置し、道内でも比較的温暖で降雪量も少ない。1959年、横浜・長崎とともに日本最初の国際貿易港として開港した。北海道の玄関口、北洋漁業や青函連絡船の基地として発展してきた。欧米文化の影響を受け、今も街並みに面影が残っている。04年12月に戸井町、恵山村、椴法華村、南茅部町と合併し、翌05年10月に中核市へ移行した。

 

ⅱ)函館市自治基本条例について

・経過等

ⅰ)函館市自治基本条例懇話会(4人:学識経験者2名、弁護士1名、NPO1名)

平成18年3月に設置し、平成19年6月までに4回の会議を開催した後、平成19年6月に「函館市自治基本条例に対する提言書」を市長に提出された。

・第1回 自治基本条例と地方自治

・第2回 函館市の現状と課題ほか

・第3回 扶助費の詳細ほか

・第4回 提言書(案)について

ⅱ)函館市自治基本条例策定検討委員会(13名:懇話会+学識経験者、団体推薦、公募)

平成19年9月に設置し、平成20年12月までに延べ40回の会議を開催した後、平成21年1月に「函館市自治基本条例に関する提言書」が市長に提出された。

ⅲ)ワークショップ・フォーラムの開催

①ワークショップ 平成20年1月から計11回開催し、延べ305名が参加した。

②フォーラム   平成20年3月23日に開催し、122名が参加した。

ⅳ)パブリックコメントの実施

平成21年6月15日から7月31日まで、パブリックコメントを実施。

ⅴ)議案の提出等

平成21年9月議会に上程し、慎重に審議された後、平成22年9月議会において、一部修正のうえ可決された。

ⅵ)条例の施行

平成23年4月1日に条例が施行された。

ⅲ)所感

北海道のニセコ町にて自治基本条例が制定されたことにより、函館市でも検討する必要があると、函館市自治基本条例懇話会がスタートした。平成18年3月にスタートし、平成23年4月に施行、つまり5年間かけて自治基本条例をつくりあげたことになる。時間をかけてじっくりと検討を繰り返し、作り上げたと説明があったが、時間をかけすぎだと感じてしまった。また、策定検討委員会で条例の内容を話し合い、概略を決めて、その後にワークショップやフォーラムを行なっているので、ここで出てきた意見がどこまで反映されているかが、凄く不透明である。自治基本条例の必要性を検討するのではなく、初めから、条例制定ありきで進んできた感がある。本市も条例を制定する場合などは、まず必要か不必要かを検討するところから始めることが重要である。総合計画の根拠についても、基本構想策定義 務がなくなってから、総合計画についての議論は行われておらず、その議論も必要ないという風潮すら感じられる。本市においては総合計画については、行政に丸投げではなく、議会側もしっかりと検討し、策定を心がけていくとともに、市民の声をどのように集め、どこまで反映させるかの検討もしっかりと行なってもらうことを強く要望しておきます。

 ■青森市まちづくり基本条例について

5月9日(水) 13:30~

ⅰ)青森県青森市

人口 28.7万人、面積 824.61k㎡

青森市は県のほぼ中央に位置しており、江戸時代より本州と北海道をつなぐ交通と物流の要として発展してきた。県都として、行政、経済の中枢を担うための高度な都市機能や利便性の高い交通機能、多彩で幅広い産業といった、多面的な機能を有する町である。一方、魅力溢れる八甲田連峰や陸奧湾など山や海に囲まれた豊かな自然を有し、これらがもたらす水や空気、農水産物と言った恵みに満ちている。また、三内丸山遺跡や、ねぶた祭りに代表される歴史や文化の薫り高い街である。急速な人口減少、少子化高齢化が進行しているが、県都らしい活気にあふれ、人々が行き交う、賑わいのある街を目標とする「青森、再生」の実現に向け、地域力を生かした、明日の街をつくるための取り組み「しごと創り」、「人創り」「まち創り」を推進している。また、市民の暮らしを守るための取り組み「やさしい街」「つよい街」「かがやく街」も展開をしている。

ⅱ)青森市まちづくり基本条例について

青森市はまちづくりの道標とする「青森市まちづくり基本条例」を制定し、「自分たちの地域のことは自分たちで考え、決め、責任を持って行動する」まちづくりの原点にたち、市民議会及び市長等の持てる力を出し合い、共に力を合わせ、連携して街づくり取り組んでいる。本条例は、市民、議会及び市長等が連携してまちづくりに取り組んでいく決意を表明する内容となっており、4つの段落で構成されている 。

(1)第一段落

市が恵み豊かな自然の恩恵を受けながら発展してきたこと。

(2)第二段落

市民の誇りである「三内丸山遺跡」「浪岡城跡」「ねぶた祭」などを盛り込むとともに先人たちのたゆまぬ努力によって培われた勇気と知恵と絆がしっかりと、私たちに受け継がれていること。

(3)第三段落

この町の自然、歴史、文化を大切にする心を紡ぎ育て、絆が繋ぐ、笑顔あふれる街として、また、活力ある住みよい街として、次の世代に引き継いでいくこと。

(4)第四段落

本条例を基に、「自分たちの地域のことは自分たちで考え、決め、責任を持って行動する」まちづくりの原点に立って、市民、議会及び市長等が連携してまちづくりに取り組んでいくこと。

また、3つのまちづくりの基本ルールを定めている。

ルール1 「市民参画」(条例第5条から第7条)

市長等は、まちづくりに関する重要な政策などを決定しようとするときや、計画の策定や変更をしようとするときは、その検討過程市民の意見を聴き、尊重し、可能な限り政策に反映するものとします。

ルール2 「協働」(条例第8条)

市民、議会、市長等は、それぞれの立場や役割を認め合い、信頼関係を築き、協働によるまちづくりを積極的に推進するものとします。

ルール 3 「情報共有」(条例第9条、第10条)

議会と市長等は、市民参画、協働、市民公益活動によるまちづくりを推進するため、市民が必要とする情報を提供し、情報の共有を図ります。

 ⅲ)所感

自治基本条例は、市民が主役のまちづくり、町を元気にする条例、これからは自分たちのことは自分たちで決めようという、とても耳障りの良いスローガンのもとで、すでに200もの自体が制定し、今も全国各地で進行中の条例です。青森市でも平成22年から公募で選ばれた市民による委員会で検討が始められ、平成24年青森市自治基本条例検討委員会による正式な検討が始まりました。28年3月第1回青森市議会定例会で一部修正のうえ可決され、平成28年4月から条例が施行されています 。

自治基本条例の柱は何と言っても市民参画にあると考えています。その点でこの青森市の市民参画の実施には学ぶ点が多くありました。平成29年度、青森タウンミーティングは40回開催 、計 1099名の市民が参加しています。また、市民と職員の対話サロンは42回開催、計812名が参加しています。また、市民意見の募集は331件(メール、意見回収箱、ホームページ、電話、 FAX等) ありました。一番驚いたのは市民意識調査です。平成29年度は回収率が57.5%と、高い意識調査が行われています。

本市でも、市民に意見を聞く場合は、総代会、政治団体、 NPO 、企業、労働組合、宗教団体等の利益誘導目的、利権獲得目的、政治的目的、思想的目的を持たない、一般市民の意見をどのように取り上げるかが大切になってくると考えます。

正しい市民参画には公正な人選が必要となってきます。そのためには無作為抽出がベストだと確信しました。それが不可能ならば多くの無作為の市民アンケートを行い、そこから意見を吸い上げるという形を本市でも積極的に取り入れ、本当の意味での市民参画をお願いしておきます。

 ■もりおか復興推進しぇあハート村について

  5月10日(木) 10:00~

 ⅰ)岩手県盛岡市

人口 29.5万人、面積 886.47k㎡

岩手県の県庁所在地である盛岡市は県のほぼ中心に位置する内陸部の都市である。人口は295,060人(H30.3.1時点)であり、近年は、高齢化が進んではいるものの、他都市からの若年層の転入があり、社会増が自然減を上回っている。その結果、わずかながら人口は微増傾向にある。しかしながら、社人研の推計では2040年には243,000人になるとされており、予断を許さない状況だと指摘できる。

・東日本大震災

平成23年3月11日に東北地方の三陸沖で起きた地震はマグニチュード9.0を記録した。岩手県では沿岸の市町では震度6弱、盛岡市でも震度5強の揺れを観測し、県内では関連死を含めた死者5,139名、行方不明者1,115名もの尊い命が犠牲となった。盛岡市内においては内陸部に位置していたことで、人命の直接的な被害はなかったが、家屋の半壊などを記録した。

ⅱ)もりおか復興推進しぇあハート村について

復興支援学生寮シェアハウスは震災後の避難場運営の経験から、平成24年度に年再生機構(UR)が保有していた区画整理に伴う仮住まい用の住宅25棟のうち6棟を無償で借り受け、シェアハウスとして運用を開始した(写真1)。その後、H25年度4月には25棟全て寄付され、復興推進の複合的施設として事業を開始した。

当初の機能は、以下の4点であった。

・復興支援学生寮(シェアハウス)

・復興支援団体のためのシェアオフィス

・コミュニティカフェ(H28年度終了)

・産業支援(H27年度終了)

NewImage 写真1 しぇあハート村内の事務所棟内で説明を受ける

視察内容

■復興支援学生寮シェアハウス

今回、視察をしたのは復興支援学生寮であるシェアハウス(写真2)である。こちらは復興を担う人材育成の観点から、進学のために盛岡市に転入してくる学生を対象に無償で共同住宅を提供する事業を展開している現時点では定員16名にたいし12名の学生が生活を営んでいる。すべての学生が県内の沿岸部出身者であり、被災により困窮をした境遇を抱えている。 

NewImage写真2 ハート村内の各棟を見学

 ■運営

当該施設の運営は国からの復興予算を原資に盛岡市が一般社団法人SAVE IWATEに委託し運営している。スタッフは2名であり、活動としては学生の日々の生活を支えることに加え、ハート村独自の活動に従事することで地域との繋がりを生み出している。一例としては、SNS上の動画共有サイトで「シェアハート村放送局」[i]を設立しハート村の活動を外に向けて発信することや、壁面アート(写真3)を地域の方とともに作成する事業を実施している。 

NewImage写真3 地域の子どもたちが作成した壁画

■成果と課題

 成果としては30人の学生がここを卒業したことを挙げている。また、卒寮した学生の兄弟姉妹があらたにここに入寮する、循環が生まれていることも成果といえる。一方、課題としては、復興推進事業であることから予近い将来には区切りを迎えることが推察されるなかで予算措置を含め不確定な要素があること、また、底地は公園用地として決定している場所であるため、市役所や地域との調整を求められる可能性が高いことがある。

 ⅲ)所感

■盛岡市と本市の類似性

広域的で甚大な災害を受けた東北地方において復興と一口に言っても、地域によりさまざまな課題、要求があったことをあらためて理解できる。盛岡市は内陸部に位置する、県内では最大の都市であり、復興期においては市内の復興だけではなく、沿岸部の支援を行なってきた。その一つとして、復興支援村のようなコミュニティ再生機能と若者支援を行う事業を行い、今に至っているのはここまで見てきた通りである。

 周知の通り、東南海トラフ地震の発生が予期される本市においては、一つの可能性として盛岡市と類似した形での復興期を迎えることが考えられる。内陸部の比較的大きな町として、自らの復興だけではなく、沿岸部の市町の支援を行う可能性である。

 そのさいのひとつのモデルとして、もりおか復興推進しぇあハート村の事業は参考になるのではないだろうか。復興において「わかもの、ばかもの、そともの」が有効に機能することは各所で指摘されており、これを継続的に担保する方法の一つとして当該事業が有効である。


[i] 動画共有サイトYouTube上にはいくつかの投稿がある。その中で「壁面アート」を特集した以下のリンクが参考になる。