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【視察】①千葉県我孫子市/提案型公共サービス民営化制度 ②埼玉県鳩山町/鳩山町コミュニティ・マルシェ設置事業

2018/01/25 00:00 活動アーカイブ

1.視察日程

平成30年1月25日(木)〜26日(金)

2.視察先および視察内容

 (1) 千葉県我孫子市

提案型公共サービス民営化制度

(2) 埼玉県鳩山町

鳩山町コミュニティ・マルシェ設置事業

3.視察内容

■(1)提案型公共サービス民営化制度について

□問題意識

公共と民間の連携をすすめること。社会環境が変化していくなかにおいて、本市においてもこれからの方向性を指し示す方法の一つとして頻出するワードです。しかしながら、PFIやBOTなど、いわゆる手段ばかりが議論され、本質的な方向性として、公共と民間の役割がどのように変化していくのか、また具体的にどのような事業を民間と連携をするのか、どのような事業は公共が担うのか、そして、連携とはどのような形がいいのか、それともよくないのか、このような公民連携のあり方、またあるべき姿における議論がやや置き去りにされているのではと感じていました。

提案型公共サービス民営化制度をいち早く導入した我孫子市は、制度の概要の末尾にこう記しています。

この制度をとおし、公共における民間と行政の役割分担を抜本的に見直し、民間の創意工夫を活かすことで、充実した質の高いサービスの展開を目指します。

制度をとおし、我孫子市が何を考えているのかを知ることができればと思い、今回の視察をお願いしました。

 □提案型公共サービス

提案型公共サービスは一言で言えば、公共が担ってきた事業を「例外なく」公表し、それらの事業について民間から委託・民営化の提案の募集を進め、それが市民にプラスなら委託・民営化を進める、とされています。

この制度を実施した背景には、今後、多様化する市民ニーズに対応していくためには全てのサービスを公共が担うのは困難であること。そのような社会に対応するためには、公共と民間が対等な立場で事業を進める環境をつくること。また、いままでの官の発想による委託化ではなく、民の提案を取り入れた事業を展開していくことが必要であるとの認識からでした。

そのような背景のもと、本事業は平成18年3月に募集を開始され、行政評価表をもとにした1,034の事務事業が公表され、民間からの提案を受け入れることになります。提案をうけた事業は、有識者や市民で構成される提案審査委員会で審議され、そこで採択を決する仕組みです。事業の募集は、一時的なの中断を挟み、平成22年から28年度まで、計4回の募集を行ってきたとのことでした。この結果、いままで提案件数は130件、審査件数は109件、内採用は60件、不採用は49件となっています。

上記の成果について我孫子市では以下3点を明記しています。

1.サービス向上とコスト削減を実現

2.事業と団体の新たな結びつき

3.職員の意識改革促す

 他方で、お話しを伺う中でいくつかの課題があることもわかりました。

 まず、①サービス向上については定性的な指標でしかなく、加えて、比較することが難しい(民間に任せた事業からは公共は手を引いたので比較対象がない)とのことです。また、コスト削減については庁内業務を統合することによるスケールメリットであり、一義的に市民サービスの向上には結びつかない可能性が高いということ。また、②事業を提案する民間は営利企業が多く、市民活動の活性化につながったとは言い難いことが挙げられていました。

 □所感

制度の概要にはこう書かれています。

「少子高齢化や環境問題などを考えても、公共の果たす役割はますます大きくなるといえます。コミュニティの中で公共サービスが担う仕組みをつくり、多様な民間の主体を育てていくことが大切です。公共を担う民間の主体を豊かにすることによって、公共サービスはより充実させつつ、スリムで効率的な市役所を実現できると考えています。」

 我孫子市が展開した、している民営化制度はこのビジョンの達成を目途としているものです。しかしながら、市民を育てていくこと、公共を担う主体を民間に作りだしていくこと(これからの時代において大切なことだと、わたしも思います)は、事業を開き、提案を待つだけではいささか難しいことは、実績や課題を見ていくことでわかってくるところです。ひとつの方向性として、積極的に外に向けて、民間に対して、自治組織にたいして、アウトリーチをかけていく庁内体制をつくり、仕掛けていく、それが一つの方向性になるのではないかと感じるところです。 

■鳩山町コミュニティ・マルシェ設置事業について

 □問題意識

高齢化社会を迎えるなかで、地域社会の担い手をどうしていくのか、そもそも持続可能なのか、これはどの自治体も抱える課題の一つではないでしょうか。そのなかで、町のことは町で考えていく、まずは、地縁組織、自治組織により解決の方向性を探っていくという方向性があります。他方で、第三者、つまり町の外から人を呼び込み、課題解決にいく方向もあります。

今回、視察をした鳩山町では昭和49年に開発されたニュータウンであり、埼玉県内で「トップクラスのスピードで高齢化が進行」すると見込まれている地域です。そこでは、福祉の問題、若年層の減少、担い手の不足、そして空き家の問題など、どの自治体も今後抱える問題が、いち早く顕在化しています。その対策のひとつとして、町の中心的な施設を指定管理者に任せ、外からコミュニティの担い手づくりを支援し、上記の課題に向けた解決を模索しています。本市においても、額田地域や大規模住宅開発を行った地域を抱え、同様の問題が今後、顕在化していくことが予想されうるなかで、どのような手を打つことができるのか、視察をしてきました。

□鳩山町コミュニティ・マルシェ設置事業

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東京都のベットタウンとして昭和42年に開発された当エリアは、町の人口14,043人のうちニュータウン人口が約50%、7,248人であり高齢化率は49%となっています。

このような状況の中で、町はニュータウン内に二つの拠点施設を定め、今回視察したコミュニティ・マルシェはその一つと位置付けられています。この事業に期待されている機能は4点あり、「移住交流推進センター」「まちカフェ」「シェア・オフィス」「ニュータウンふくしプラザ」があります。

訪れたときは、ニュータウン内で福祉活動をしている方たちが集い活動をしており、また地元産の野菜や弁当の販売をしていました。

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また来年度からは、「移住交流推進センター」に力をいれ、空き家バンクの運用を見直し、若者の移住支援、またシャアハウスを展開していくとのことでした。

□所感

本事業はまだスタートしたばかりであり、成果(測れるとしても)としてなにかがあるわけではありません。が、自治体の担い手が不足するなかで、地域の拠点を指定管理にまかせる方法は考慮していく場面があるかもしれません。鳩山ニュータウンは7000人規模の地域であり、本市においては学区単位と同型であると推察できるところです。その単位における拠点(例えば、市民ホームまたは、子どもの家の一角など)を指定管理とし、地域のさまざまな課題を解決するプロフェッショナルな団体に支援を任せる手法は、一定程これからの社会課題の解決に寄与する可能性があります。

また、この手法は民間に任せることにより縦割り的な弊害をある程度避けることを可能にします。福祉の問題、空き家の問題は、社会的につながっている課題であり縦割りでの解決策では難しいところがあります。

今後、事業の進捗を定点観測しつつ、成果を期待するところです。