関税ショックと西三河の危機─岡崎市が挑む“稼ぐ行政”への転換

米国の関税問題に揺れています。

報道によると4月2日にトランプは全ての輸入品にかんし相互関税を発動することを発表。3日には米国向け自動車に25%の追加関税を発動しました。5日にはすべて国にたいし適用した基本関税10%も発動。しかし4月10日には相互関税の上乗せ部分(日本は14%)の90日間の一時停止を発表しました。

これをうけ、政府は赤澤経済再生担当大臣を交渉の当事者に決め「ディール」にのぞんでいます。

余談ですが、大臣がトランプ大統領のホワイトハウスを訪れたさい「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」と大字された赤いキャップを被った写真を撮り批判をあびました。あれは、かのGHQのマッカーサー最高司令官の横に映る昭和天皇を想起させるような姿だったからでしょうか。

米国とむかいあうと、どうしても歪んだ像を結ぶことになるのが敗戦国であるわれわれの性であるとあらためて噛み締める一幕でした。

ともあれ、日々、めまぐるしく変わりゆく報道は追いかけるこちら側をうんざりした気持ちにさせます。それとともに、米国の大統領とはいえ一個人がこれほどまでの影響力を世界に持つのかと驚嘆させられます。

さて、このまま大規模に関税が発動すれば、米国の年間新車販売台数が低下することが予想されます。野村総研の試算によれば、細かい前提はありますが、24%の関税は日本の実質GDPを年間0.59%押し下げ、さらに25%の自動車関税を合わせれば押し下げ幅は約0.7~0.8%に達するとしています。

これは国はもちろん、ここ西三河地域に甚大な影響をおよぼす可能性があります。

実際、リーマンショックのさいは、トヨタは期間従業員を約9000人から3000人へ削減し、国内生産を大幅に落とした過去があります。もちろん、今後どのようになるのか先行きは不透明です。とはいえ、岡崎市は令和7年度の予算編成において大変苦しい状況でした。これから、さらに厳しいシナリオに突入する可能性もあります。

そのなかで、岡崎市がやれることは「稼ぐ行政」への道筋をつけることでしょう。紙幅が限られていますので、詳しく述べることはできませんが、民間と組み新たな産業を育てることです。

トランプ大統領を生み出した米国ラストベルトの教訓は、第二次産業の衰退が中間層の崩壊を招き、政治的分断を深めた点にあります。

西三河が「日本版ラストベルト」とならぬよう、行政と産業界が次世代の稼ぐ力を共創し、外部ショックに耐える地域経済を構築する胆力こそ、いまもっとも必要なことです。

ことあるごとに、提言しようと思います。

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